「転勤族の妻だから、働けない。・・・でも、本当は働きたい。」
こんなふうに思ったことがある転勤族妻の方もいらっしゃるかもしれません。
実はこれは、わたしがずっと抱えていた葛藤でもあります。
●転勤族妻は、いつ転勤になるかわからないから、仕事先に迷惑がかかってしまう
●近くに両親がいないから、子どもがいると仕事は難しい
●夫の転勤のために引っ越しをするたびにキャリアが途切れてしまう
●退職してからのブランクが長いから、再び仕事をするのは難しい
でも・・・本当に、そうなんでしょうか?
転勤族の妻でありながら、転勤先の青森県でフリーランス(個人事業主)として働く!と決めた私も、決して特別な才能や技術をもっているわけではありません。
あったのは、「いつか働きたい」という思いと、小さな気持ちの準備、さまざまなご縁でした。
「転勤族だから、働けない」ではなく「転勤族だからこそ、届けられるものがある」
このように思えるようになったきっかけ、出会いを、つづりました。
この記事の内容
「いつか働きたい」と思っていた7年間
転勤族妻でも、ずっと抱えてきた思い
私の夫は、全国転勤がある転勤族です。
結婚後、退職。生まれ育った東京を離れ、夫の転勤先である新潟県長岡市に引っ越しました。
実は退職前、研究室の先輩からは「結婚後も東京で働き続ける」という選択肢や、「勤務日だけ東京へ行く」という選択肢もあるよ、と言われました。
(とても素晴らしいキャリアを築かれている方です)
でも、会社員の父と専業主婦の母に育てられた私にとって、そのような思い切った決断はできませんでした。
仕事で身体を壊した経験もあったため、そこまでして仕事をすることに、正直不安もありました。
それでも、仕事をすること自体はやっぱり好き。ずっと心の片隅には・・・
「いつか、働きたいな」
という思いがありました。
専業主婦で料理やお菓子作り、子どもの洋服づくりが得意だった母。
その姿をみて「すごいなぁ・・・」と思っていましたが、自分はちょっとタイプが違うということを、子どものころから薄々と感じていました。
もちろん家族や子どもは大切。だけど、社会の役にも立ちたい。
自分の仕事で誰かを笑顔にしてあげたり、成長させてあげることができたら!
そう考えるだけで、ワクワクしました。
もしかして、女性の中には、母のように、子どもが大好きで専業主婦であることを心から楽しめる人もいれば、
わたしのように、外の世界に出るから家での生活も大切にできる人もいるのかもしれません。
転勤族妻だから仕事は難しい、という思い込み
そう思いながらも、実際にはなかなか仕事をはじめられなかった理由。
それは、「転勤族妻だから仕事をするのは難しい」という思い込みからでした
●いつ転勤になるのかわからないから、仕事先に迷惑がかかってしまう
●出産後、偏頭痛の発作頻度も症状も重くなってしまっている
●子どもはまだ小さいし、よく熱を出すタイプ
●実家が遠いため、もしものときに頼る人がいない(公共のサービスはあるけれど、とっさの時には難しい)
●父の言葉から「転勤族の妻は、夫を支えるものだ」と言われていた
そんなことから、
転勤族の妻のわたしは、働くことはできない。
できたとしても、子どもが大きくなってからでないと難しい。
と思い込んでいました。
今なら、仕事をするといっても、実際にはいろいろな働き方がある!と思えるのですが。
この時は「学校か会社に勤める」というスタイルしか考えられられず、なおさらそのように思い込んでいたように思います。
実際、お仕事をしている周りの方を見渡したときも、おじいちゃん・おばあちゃんに協力してもらっている方がとても多く。
また逆に、同世代の子どもがいる転勤族妻の方で、お仕事をされている方は、当時の私の周りにはいませんでした。
でも、あるふたつの言葉に出会い、だんだんと考え方が変わっていきました。
それは・・・
「転勤族妻は働けない」という思い込みを吹き飛ばした2つの言葉
大企業で働く先輩の言葉
定期的に届く出身大学の同窓会誌。
そこには、現在活躍されている先輩方を紹介するコラムがあるのですが、その先輩のコラムを読んでいく中で、だんだんと私の中の働くことに対する考え方が変わっていきました。
その中でも特に影響を受けたのが、この一説。
「子供が小さいときは『低空飛行』でよい。落ちない程度に仕事も家庭も頑張って続けなさい。いつか子どもが大きくなったら思い切り大きく飛べばよい」。恩師(お茶大名誉教授:島田敦子先生)のこの言葉が、小西流「ほどほど」の原点だ。
お茶の水女子大学学報 第243号
東京ガス関連事業部 関連総務グループマネージャー
小西雅子さんコラムより
実は、このようなことを書いていたのは、小西さんだけではありませんでした。
複数の先輩が、「子育ての時期は、全速力でなくてもいい。でもとにかく続けなさい。」そういったメッセージを書いていらっしゃいました。
これを読んだとき、それまでは自分の中のどこかで「友人たちに負けないように働きたい」「せっかく専門的な勉強をして大学を出たんだから、それなりの仕事がしたい」というような思いがあったことに気が付きました。
でも、実際には、ブランクもあるし、前職の勤務期間が短い。
思いと現実との間に大きなギャップがあることで、焦り、そして一歩が踏み出せずにいました。
でも、大手企業で活躍されている先輩でも、そういった期間があるんだ。そう知ったことで、なんだか気持ちが軽くなりました。
いまから全速力でなくてもいい。今できることを、小さくても、とにかく続けていくことが、未来の自分につながっていくかもしれない。
このコラムを読んで、なんだかそういう風に思えるようになったのです。
偉人ナポレオン・ボナパルトの言葉
そして、もうひとつ。私の背中をポンっと後押ししてくれたのが、偉人ナポレオン・ボナパルトの言葉でした。
じっくり考えろ。
しかし、行動する時が来たなら、考えるのをやめて、進め。
ナポレオン・ボナパルト
そうか、今はじっくり充電して、考える時期なのかもしれない!
いつか行動できるときがきたときのために!
この時の衝撃は、本当に忘れることができません。
転勤族で地方を転々としている期間、必死に子育てをしている期間、もしかしてこれは、未来の私の何かに役立つ、大切な経験なのかもしれない。
いまこうしてひとり子育てで悩んでいる日々が、将来、同じような悩みをもつ人の役に立つこともあるかもしれない。
そんな風に、どんどんと気持ちが変化していきました。
今は焦らずに、今できることを、とにかくしっかり頑張っていこう!
そう考え方が変わったことで、気持ちも楽になったし、ある意味、覚悟もできたように思います。
転勤族妻のわたしでも働きはじめやすい!仕事との出会い
そして、その後まもなく、某英語教材のアフターフォロースタッフの仕事に出会いました。
●全国どこに転勤しても続けられる仕事
●勤務日は土日(夫の休日で、子どもをみてもらえる)
●月1~3回程度の勤務
という、近くに両親が転勤族妻のわたしにとって、願ってもない条件の仕事。
しかも、まずは低空飛行でいいから「仕事をする」ということを続けたかった私にとって、ちょうどいい仕事のペースでした。
東京での研修が必要だったことは、少し勇気のいることでしたが、思い切って一歩をふみだすことにしました。
数年間、家の中で一人で専業主婦をしていた私にとって
●チームで仕事をする機会
●人前で話す機会
●保護者さんと関わる機会
というのは、本当に久しぶりの経験でした。
でもここで、このような経験を少しずつ重ねられたことはとても貴重でした。
この経験があったからこそ、その後、本格的に仕事をはじめることができたように思います。
まとめ
「転勤族妻は働くことができない」と思い込んでいた私ですが
子供が小さいときは『低空飛行』でよい。いつか子どもが大きくなったら思い切り大きく飛べばよい。
お茶の水女子大学名誉教授:島田敦子先生
じっくり考えろ。しかし、行動する時が来たなら、考えるのをやめて、進め。
ナポレオン・ボナパルト
この2つの言葉との出会いで、
今は焦らずに、今できることを、とにかくしっかり頑張っていこう!
それが未来の自分につながるはず!
と長い目で働くことに対して考えられるようになりました。
このことで、焦りもなくなり、現在と未来に自分に対する覚悟もできたように思います。
そして、転勤族妻でも働きやすい仕事を見つけ、一歩を踏み出すことができました。